ビールの味

ふとずっと前のことを思い出した。

もういつのことかも微妙だが・・・・。

確か大学時代。
実父の奥さんと実父と義理弟、実姉とともに仙台に旅行に行ったことがある。
(かなり複雑でわかりにくが、以前の日記のどこかにいろいろ書きました)

ものすごく気が重く、いやな旅行だった。
行きたくなかったが、家族の取り持つにはいくしかなかった。。。。

だから部屋もシングルにしてもらい、あまり協力的な態度はしていなかったように思う。

そして一泊目の晩。

ロビーに呼び出された。
実父、実姉と僕。

「たけ、お酒飲んでもいいぞ」
と実父がいう。
たばこも酒もやらない彼の前ではぼくは酒を飲む勇気がなかった。
それもそのはずである。
中学からもう離れ離れだから、たばこも酒も覚えた自分を見せることは自殺行為だったから・・・。
何せ怖い父ですから・・・。

僕には衝撃だった言葉だったが、そこにたたみかける言葉が・・・

「俺も飲むから¥・・・・」

彼は飲めない。
でも飲むという。

何らかの男の会話があったように思い、うなずいた僕。

そして人生最初で最後であろう実父との酒の乾杯をした。

あのいっぱいのビールの味は覚えていない。
とにかく急いで飲んだ。
そして真っ赤になる実父の顔を見ながら、走馬灯のように幼き記憶がよみがえっていた。

この人も苦労したな・・・。
そんなことを考えていたような気がする。

そして

「お前たちにはずっと苦労かけて・・・」

そんな言葉をきくと泣けてきた。
ずっと傲慢で厳格でどなり散らしていた父だからこそである。

もうあのころの父ではないんだと。
守らなければならないってことを痛感した。

そしてその次の日からの仙台の旅がお墓めぐりであることを知る。。。
片寄家の墓を僕に引き継ぐ準備をしたかったんだという。

僕を息子以上の存在として認めてくれた瞬間だった。

あのビールが僕をどう変えたかはわからない。
でもあのビールが僕と父の間を取り持ったことは断言できる。

無理して飲んでくれたビール。
僕に気を使って・・・。

そんな父に出会った僕は少し大人になった。

男とはそういうものなのだろう。

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